8.「歌詞カード」を使わずに歌詞を提示する
歌唱指導法の続きです。
伴奏つきで教師の範唱を聴かせるときに、初めて歌詞を提示します。
私は、歌詞の提示に、「歌詞カード」(模造紙等に歌詞の全てを書いたもの)はほとんど使いません。
次のいずれかを使います。
1 パソコン
2 スケッチブックあるいは数枚の厚紙(A3版以上)
これらのいずれかを使い、次の方法で歌詞を提示します。
「歌詞の一部分」と「歌詞の内容に合った絵(または写真)」を、伴奏に合わせて次々と提示する
パソコンを使うときは、「音楽プレゼンテーションソフト」を使うと便利です。(音楽プレゼンテーションで歌詞を提示する)※まだ書きかけです。
カラオケのように、演奏に合わせて、歌詞や絵・写真を表示させることができます。
教師は、スクリーンの端に立って歌います。
スケッチブックや厚紙を使う場合は、あらかじめ、一枚一枚、歌詞の一部分を書いたり、絵や写真を貼ったりしておきます。
曲に合わせて紙をタイミングよくめくっていくことになります。
歌詞を覚えて練習すれば、視線をほとんど生徒に向けながら歌うことができます。
この方法で範唱を聴かせると、より多くの生徒たちが、歌詞だけなく、絵や写真に注目して聴くことができます。
なかには、歌詞を拾い読みして一緒に歌う生徒もいます。
仮に、「歌詞カード」で、歌詞を提示するとします。
「歌詞カード」を最も活用して歌う人は、いったい誰でしょうか。それは、
教師
です。
リーダー、サブの教師含めてです。
ひらがなが読める生徒がいたとしても、歌詞カードを活用して歌える生徒は、「少数派」です。
津守・稲毛式乳幼児精神発達診断検査に、以下の検査項目があります。
6歳6ヵ月 ひらがなの本(字を主体とした本)を、たいがい読む
このことから、歌詞カードから文字を読み取れる生徒の精神年齢は、「6歳6ヵ月以上が目安」といえます。
授業する集団に、精神年齢が6歳6か月以上の生徒は、何人いるでしょうか。
現在、私が担当している集団では、20名中5名です。
実際には、歌詞カードから文字を読み取れる生徒は、3名ほどです。
たとえば、次のような生徒がいるからです。
空間把握が弱い生徒
文字情報が多すぎて、今歌っているところがどこか、わからないのです。
そのために、教師は次のことをします。
教師の指あるいは棒で、歌っているところを指す
すると、どうなるか。
教師の視線の多くは、歌詞カードに向けられてしまう。少なくとも、生徒全員に視線を合わせることはできない
リーダー、サブの教師含めて、歌詞カードを最も活用して歌う人が教師だといったのは、そういう意味です。
パソコンやスケッチブック等で、歌詞の一部分を伴奏に合わせて提示するとします。
すると、歌詞を読み取れる年齢が、より引き下がります。
前述の検査には、以下の検査項目もあります。
5歳6ヵ月 ひらがなの短いことばを、1字ずつひろい読みする
「6歳6ヵ月」から「5歳6ヵ月」まで、引き下がりました。
現在担当している集団では、20名中8名が、5歳6か月以上です。
パソコンやスケッチブック等を使うことで、歌詞が読み取れる可能性が、2倍に広がりました。
さらに、この方法だと、
教師は、生徒全員に視線を合わせることができる
のです。
また、歌詞の一部の提示だけではなく、歌詞の内容に合った絵(または写真)があれば、
文字が読めない生徒も、絵や写真を手がかりに歌詞をイメージしたり、絵本のように楽しんで見たりする
可能性が広がります。
津守・稲毛式乳幼児精神発達診断検査には、さらに以下の検査項目があります。
0歳11ヶ月 絵本をあきずに見る
1歳3か月 絵本を見て、知っているものの名前をいったり、さしたりする
絵や写真を提示して歌うことで、知的障害が最重度の生徒も、より積極的に歌唱の授業に参加するようになります。
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