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2008年7月

3.『おちたおちた』は、なぜ80%に到達したのか

『おちたおちた』は、なぜ80%に到達したのでしょうか。
理由は、ズバリこれです。

原実践を修正したから。

なぜ原実践を修正する必要があったのでしょうか。
それは、

精神年齢が3歳未満の生徒もできるようにしたかったから

です。

原実践と思われる指導は、次の本に掲載されていました。

1.楽しいボディパーカッション〈1〉リズムで遊ぼう(山田俊之著、音楽之友社)

2.『小学1年生の体・音・図工・総合の指導・大好きにする技』(TOSS愛知教育サークル著、明治図書)

3.『3歳児の保育資料12ヶ月』(阿部恵編著、ひかりのくに)

(興味深いのは、「小学校~中学生の実践」「小学校1年生での実践」が、「3歳児の保育資料」にも同じく掲載されているところです。
さらにこの歌は、文部科学省発行の養護学校(知的障害)教科書『おんがく☆』にも、掲載されています。)

「3歳児の保育資料」にも掲載されているということは、

原実践の『おちたおちた』は、「3歳児」ができる教材である

といえます。

裏を返せば、

原実践の『おちたおちた』は、「3歳未満の子ども」にはできない可能性がある

ということにもなります。

私は、原実践を次のように修正しました。

  1 生徒がすることを、身体表現に絞る。
    2 歌の掛け合いをやめて、全て教師が歌う。
    3 「なにがおちた」の歌詞を、「かみなりおちた」に替える。
    4 「かみなり!」とは言わず、「おなか!」と言う。
    5 言うだけでなく、おなかを「触って」みせる。
    6 それだけではつまらない子どものために、
    原実践通り、「身体表現を連想しやすい言葉」も加える。(etc「りんご」)

これらの修正をすることで、次の効果を期待できます。

  A することが1つになり、課題に集中しやすくなる。
  B 教師が、子どもを観察しながら、「テンポ」や「間」の調整ができる。
  C (A’、B’のための便宜上の変更です)
  D 「連想させる言葉」ではなく、「体の部位」を言うことにより、
    より身体表現がしやすくなる。
  E 「動作」でも示すことで、さらに身体表現がしやすくなる。
  F できる子どもはさらに熱中するようになる。


Dの根拠としては、遠城寺式乳幼児分析的発達検査法に次の項目があります。

  1歳9ヶ月   目、口、耳、手、足、腹を指示する

Eの根拠としては、同じ検査法に、次の項目があります。

  0歳10ヶ月  身ぶりをまねする(オツムテンテンなど)


つまり、これらの修正で、次のことがいえます。

精神年齢が3歳未満の生徒も、できる可能性が広がった。

「1歳9ヶ月」または「0歳10ヶ月」の課題がクリアした生徒も、
できる可能性が出てきました。

このように修正することで、「80%」の到達する実践が生まれました。

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4.『おちたおちた』は、常に80%を確保できる実践か

修正した「おちたおちた」 は、実際何%の生徒が到達したのでしょうか。

常に、80%を確保できる実践なのでしょうか。

(1)

実は、最初に、修正した「おちたおちた」を「実践」し、「記録」したのは、
「高1の生徒」に対してでした。
重度・重複学級を含む、25名の生徒でした。

4月から初めて3回目の授業で、25名中、22名の生徒が、
少なくとも「あたま!」「おなか!」「りんご!」のいずれかの身体表現をするようになりました。
「88%」です。

(2)

では、中学部ではどうだったか。

「中2,3年」の合同の授業を受け持ったときに、「おちたおちた」を実践しました。
そのときは、25名中、21名。
「84%」でした。
80%を超えました。
これらの集団も、重度・重複学級の生徒を含みます。
しかし、当時の集団については、指導にかかわった多くの同僚が、

    「こんな能力の高い集団ははじめてだ」

と口にしていました。
実際、S-M社会生活能力検査では、
25名中13名が、「5歳代」「6歳代」に集中していた集団でした。

(3)

その後、「中1,2年+中の重度・重複学級の生徒全員」

の音楽の授業を受け持ちました。
数度、授業の最初に「おちたおちた」をしました。
しかしそれでも、21名中、15名でした。
「71%」です。
ついに80%を大きく割ってしまいました。

この集団では、授業の最初に「おちたおちた」の実践をする意義が
なくなってきました。

「おちたおちた」は、ごくごく大ざっぱにいえば、
「能力の高い生徒が多い集団」には、有効な実践でした。

しかし、常に、80%を確保ではありませんでした。
どんな集団でも「常に有効な実践」など、存在しません。
生徒の実態が変われば、当然、「適さない実践」にもなります。

障害の「重度化」「重複化」は、全国的な傾向です。
その都度、生徒の実態に合わせて頭を絞らせるのも、教師の仕事の醍醐味です。

「おちたおちた」では80%に到達しなかった集団に対して、
私は、新たな教材を模索することになります。

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5.『拍手の授業』

「おちたおちた」で80%に到達しなかった集団に対して、

私は、「拍手の授業」をするようになりました。

「拍手の授業」も、長くて2分で終わる活動です。

だいたい1分過ぎで終えるようにしています。

あまり長くなると、集中力がもたなくなります。

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第1時。

提示1 (拍手:タタタタ タタタタ タタタタ タタタタ タン)


いきなり拍手を続けてする。
拍手は速く、たくさん。

「十六分音符16個」+「四分音符1個」のイメージで拍手すると、テンポがよくできる。
最初の拍手の提示が終わったら、すばやく手を降ろす。

驚いた様子の子どもたちがいる。かまわず、次にいく。

指示2 (両手を出した後)さんはい。

        はくしゅー(拍手:タタタタ タタタタ タタタタ タタタタ タン)

        (両手を降ろして)ストップ!

両手を降ろすときは、「気をつけ」の姿勢をしてみせると、わかりやすい。

数人が、はやくも拍手の模倣をする。

その生徒たち一人一人にうなずきながらアイコンタクをし、

「そう。○○君(さん)、上手。」と褒める。

近くの教師にも褒めてもらう。

「『はくしゅー』するんだよ。」

実際に、拍手をしてみせながら言う。

指示1を2回程度行う。拍手の回数は増減させ、変化をもたせる。

子どもが慣れてきたら、次の指示をする。

指示3 (両手を出した後)さんはい。

          はくしゅー(拍手:タタタタ タタタタ タタタタ タタタタ タン)

          (両手を降ろす。少し間をおいてから)ストップ!

拍手の間、一人一人にアイコンタクトを送る。拍手をしている生徒にはさらなる笑顔で微笑みかける。

指示1と違い、両手を降ろし(視覚入力)、少し間をおいてから、「ストップ」と言う(聴覚入力)。

拍手をいまだし続ける子どもは、近くの教師にとめてもらう。

拍手をしない生徒には、近くの教師の模倣をしたり、身体補助で拍手の動きを教えてもらったりする。

指示4 (両手を出した後)さんはい。

          はくしゅー(拍手:タタタタ タタタタ タタタタ タタタタ タン)

          (両手を降ろす。何も言わない。)

「ストップ」の言葉を削り、動作で示す。
しばらくして、拍手がやむ。

指示5 (両手を出す。何も言わない。)

          はくしゅー(拍手:タタタタ タタタタ タタタタ タタタタ タン)

          (両手を降ろす。何も言わない。)


指示6 (両手を出す。何も言わない。)

(拍手:タタタタタタタタ タタタタタタタタ タン)

(両手を降ろす。何も言わない。)

最終的に、全ての言葉を削る。

拍手の回数は、適宜増減させて、変化のある繰り返しで行う。

半分以上の子どもたちは、言葉の指示がなくても、教師やまわりの子どもの動作を見て、集中して拍手をするようになる。

一方で、拍手をせずに様子を見たり、しばらくして拍手をやめたりする子どももいる。

その子どもたちにもアイコンタクトをしてうなずく。

なごやかな雰囲気で次の活動を移る。

...................................................................................................................

第2時。

最初に、指示2~6で、拍手をする。
(子どもの集中度が低ければ、適宜とばす。)

次に、動作を変える。

指示7 (片足を上げてみせた後)さんはい。

          あしー(足踏み:ドドドド ドドドド ドドドド ドドドド ドン)

          (気をつけの姿勢をして)ストップ!

「拍手」から、「足踏み」にする。
子どもたちから、歓声が上がる。

拍手のときと同じように、「ストップ!」「さんはい」「あしー」の言葉を削っていく。

同じように、「おなかー」「おしりー」と動作を変えていく。

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